
葬儀と告別式は、どちらも故人を送り出す大切な儀式ですが、その違いを明確に説明できる人は少ないでしょう。違いを理解しておくことで、実際に参列する際のマナーや準備すべきことが明確になります。この記事では、葬儀と告別式の違いについて詳しく解説し、それぞれの役割や流れについて分かりやすく紹介します。
葬儀と告別式の違い
葬式という言葉には、通夜、葬儀、告別式の三つの儀式が含まれています。
いざという時に戸惑わないように、各儀式の意味や参列者の違いについて知っておきましょう。
通夜とは
通夜とは、家族や親族、ごく親しい友人が集まり、故人をしのぶための儀式です。
もともとは、遺族や近しい人々が夜を通してろうそくや線香の火を絶やさず、故人を見守るものでした。近年では、斎場で行われることが一般的になり、防災上の観点からも夜を徹しての通夜は少なくなりました。現在では、2時間から3時間程度の半通夜が主流であり、僧侶の読経、焼香、法話などを実施します。
葬儀とは
葬儀は、故人があの世へ旅立つための重要な儀式です。
宗派や地域によって儀式の内容は異なりますが、基本的には故人の供養を目的としています。家族や親族といった、故人と特に深い関係にあった人々が中心となり、仏教の場合は、僧侶が読経します。
告別式とは
告別式は、故人と生前縁のあった人々が、最後のお別れをする場です。
葬儀の後に実施されることが多く、友人、同僚や上司などが参列します。告別式では、参列者が順番に焼香・献花し、故人との最後の時間を過ごします。告別式の後、故人は霊柩車で火葬場へ向かい、出棺となります。
そのため、告別式は故人と直接お別れができる最後の機会となることが多いのです。もともと、葬儀と告別式は別々の儀式でした。しかし、近年では一連の流れとしてまとめられることが増えています。
また、告別式は日中に執り行われることが一般的です。そのため、仕事などの都合で昼間の参列がむずかしい場合は、通夜に参列するのもひとつの選択肢です。
葬儀・告別式の流れと日取り
ここでは、それぞれの儀式の流れや日取りの決め方について詳しく解説します。
葬儀・告別式の流れ
通夜と同じ斎場で実施されることが多いため、準備したものをそのまま使用できることが多いです。
遅くとも、葬儀開始30分前から受付できるように手配しましょう。僧侶が入場した後に、読経が始まります。宗派などにもよりますが、30分以上は続くと考えておきましょう。また、故人と親交が深かった人の弔辞も、あらかじめ依頼しておくことが必要です。
弔辞が終了すると、僧侶が読経を再開します。ここで、指示されたタイミングで焼香を開始します。焼香が終了したら、僧侶が退場、葬儀・告別式は終了です。一般の参列者は外で出棺に備えて待機していますが、親族は斎場内でお別れの儀に臨みます。
最後に、参列者から受け取った香典に対し、1/3の金額を目安に返礼品を贈る、香典返しをするのがマナーです。しかし、近年では式の当日にあらかじめ返礼品を用意しておく、即日返礼が増加しています。
日取りと時間の目安
通夜は、故人が亡くなった次の日に実施して、その翌日に告別式を執り行います。
その後、火葬するのが一般的です。訃報を知らせるのは、日取り決定して連絡しましょう。家族や親族、友人などには、電話で訃報を伝えるのがマナーです。しかし、つながらない場合はメールで連絡しましょう。告別式を執り行う時間は、午前中から午後の早い時間に設定しましょう。
葬儀の日取りを決める際の注意点
通夜や告別式には、実施しなければならない期限はありません。
しかし、一度決めた日程の変更が発生すると、関係者の負担になりかねません。そのため、日取りは慎重に決定しましょう。
予約状況を確認する
日程を決める前に、火葬場の予約状況を確認することが不可欠です。
通夜・告別式の日程を決めてから火葬場を予約しようとすると、希望する日時に空きがないこともあります。とくに、都市部では火葬場の混雑が予想され、直近の日程では予約が取れない場合もあります。そのため、事前に空き状況を問い合わせるのがよいでしょう。
僧侶の都合を確認する
他の法要などで予定が埋まっていることも考えられるため、僧侶の都合も確認しなければなりません。
日程を決めた後に依頼すると都合がつかないこともあるため、可能な限り早めに相談しましょう。お布施の準備なども含めて、事前に打ち合わせをしておくと安心です。
参列者のスケジュール
参列者のスケジュールにも、十分に配慮する必要があります。
とくに、故人と親しい関係にあった人や弔辞をお願いする予定の人がいる場合は、可能な範囲でその人の都合を考慮しましょう。近しい親族や友人がどうしても出席できない日を避けることで、悔いの残らない葬儀を執り行えるでしょう。
友引を避ける
友引は、友を引く意味合いから、火葬や葬儀を実施するのを避ける習慣があります。
斎場や火葬場によっては、友引の日に火葬を受け付けていないこともあります。ただし、通夜は友引の日に行っても問題ありません。どうしても友引の日しか都合がつかない場合は、親族や関係者と相談のうえで判断するとよいでしょう。
まとめ
葬儀と告別式は、似たような意味合いで使われることが多いですが、本来は異なる目的がある儀式です。葬儀は、宗教的な儀式として故人の冥福を祈る場であり、遺族や親族、関係者が中心となって執り行われます。一方で告別式は、故人と縁のあった人々が最後のお別れをする場で、社会的な儀礼の意味合いが強くなります。いざという時に慌てないためにも、葬儀と告別式の違いを理解し、事前に準備しておくことが大切です。