
突然の訃報により準備があわただしくなり、望んでいた形とは違う葬儀になってしまうケースも少なくありません。しかし近年、多くの人が、自分らしい葬儀を実現するために事前相談を活用するようになりました。この記事では、葬儀の事前相談でわかることや、そのメリットについてくわしく解説します。
葬儀の事前相談とは
葬儀の事前相談とは、前もって故人を見送る準備を実施するための大切な機会です。
多くの人にとって、葬儀を執り行うことは一生に何度も経験するものではなく、喪主を務める機会も限られています。そのため、実際に葬儀を行う際にどれほどの費用がかかるのか、どのような形式が適しているのか、また、亡くなってから葬儀までの流れについて十分に理解している人は、決して多くはありません。
予算や形式を知る機会
こうした疑問や不安を解消するために、葬儀の事前相談が役立ちます。
予算や葬儀の形式などについて相談でき、相場がわからない、どのような種類の葬儀があるのかわからないといった場合でも、担当者がていねいに説明してくれます。また、参列者の人数や宗派を踏まえた費用の見積もりを出すことも可能です。
家族葬にするか一般葬にするか、会場の規模をどの程度にするかなども選択できるため、家族の希望に沿った形を具体的に考えられます。
自分が希望する葬儀を実現
自身が希望する葬儀の内容についても相談できます。
たとえば、故人が生前に好んでいた花を飾れるのか、式の雰囲気を明るくするために特定の音楽を流せるのか、といった細かな要望についても確認できます。できることとできないことを事前に把握し、担当者と調整しておくことで、希望に沿った葬儀を実現しやすくなるでしょう。
見直しも可能
ひとたび事前相談をしたからといって、その内容を絶対に守らなければならないわけではありません。
人生の状況に応じて、希望する葬儀のスタイルは変わるものです。たとえば、家族構成が変わったり、考え方が変化したりすることによって、希望する葬儀の形式が変わる場合もあるはずです。定期的に見直しをしながら、自分に合ったプランを選べるので、軽い気持ちで考えてみるのもよいでしょう。
葬儀の事前相談をするメリット
葬儀について事前に考えることに対して、縁起が悪いとする考え方は、近年薄れつつあります。
現在では、自分の葬儀の理想をあらかじめ伝え、それにもとづいて準備を進めることのメリットを重視する人が増えています。ここでは、葬儀の事前相談で得られるメリットを解説しているので参考にしてください。
形式を選択できる
葬儀の形式について、自由に選択可能です。
親族や親しい友人のみで執り行う家族葬、会社関係者や知人を招く一般葬、あるいは故人の個性を反映した特別なスタイルの葬儀など、多くの選択肢があります。
急な訃報に際し、あわただしく準備を進めると、結果として一般的な形式の葬儀になりがちですが、事前相談しておけば、希望する形の葬儀を実現しやすくなるでしょう。
故人の希望と遺族の意向が必ずしも一致するとは限らず、遺族が立派な葬儀を考えていても、故人ができるだけシンプルにして、家族の負担を軽くしたいと望むこともあります。事前に相談しておくことで、こうしたギャップを埋められるのがメリットです。
遺族の負担軽減
葬儀の事前相談は、遺族の負担を軽減するうえでも役立ちます。
突然の別れに直面し、悲しみの中で葬儀の手配を進めることは、精神的にも大きな負担です。しかし、故人があらかじめ葬儀の方針を決めておけば、遺族はそれに沿って準備を進めるだけでよく、迷いや負担を減らせるでしょう。
プランを比較検討できる
事前相談を実施することで、複数の葬儀社のサービスやプランを比較する余裕が生まれます。
信頼できる葬儀社を選ぶためにも、時間をかけてじっくりと検討できます。実際に斎場を見学したり、スタッフの対応を確認したりすることで、安心して任せられるかどうかを判断する材料になるので、よりよい葬儀が実現する可能性が高まるでしょう。
費用トラブルを回避
費用面のトラブルを防ぐことも、事前相談の大きなメリットのひとつです。
葬儀にはさまざまなオプションがあり、当日に追加することで予算を大幅に超えてしまうこともめずらしくありません。事前に見積もりを確認し、どの程度の費用がかかるのかを把握しておくことで、想定外の出費を避けられるでしょう。
葬儀の事前相談はいつ行うべき?
葬儀がいつ必要になるか分からないため、葬儀の事前相談は、できるだけ早く実施するのが望ましいとされています。
まだ若いから大丈夫、健康だから後でも問題ないと考えていても、突然の事故や予期せぬ病気によって、急に準備をしなければならない状況になることもあるでしょう。万が一のときにあわてずに済むよう、事前に相談しておくことが大切です。
葬儀の計画はまだ早い、と思うかもしれませんが、葬儀の事前相談は将来の安心につながる大切な準備のひとつです。理想に近づけるためにも、早めに相談を始めて、必要に応じて見直しをしていくことが望ましいといえます。
まとめ
葬儀の事前相談は、葬儀の内容を決めるだけではなく、遺族の負担を軽減し、費用面でのトラブルを防ぐためにも有効です。突然の出来事にあわてることなく、故人や家族にとって納得のいく葬儀を執り行うためには、早めの準備が大切です。事前相談した後も、ライフステージの変化に応じて内容を見直せるので、気軽に計画してみてください。信頼できる葬儀社と相談を重ね、理想の形を具体化しておくことをおすすめします。